Sternhimmel

裏声Pがシンデレラガールズのアイドル(主に岡崎泰葉)について考えたり雑な感想を言ったりするブログです。Twitter:@usagoe716

第5回総選挙・岡崎泰葉の投票セリフが果てしなく熱い。

※本記事は、総選挙開始日にパスワード付きで公開したものの修正版です。

 

 2016年4月7日15時より、モバゲー版アイドルマスターシンデレラガールズにおいて「第5回シンデレラガール総選挙」が始まりました。もう恒例行事ですね。

 そして4月18日、中間発表が行われました。予想通りだなあというところもあれば、予想外の歓び、また悔しさもあります。
 そして総選挙は順位で盛り上がるのは当然ですが、たくさんのアイドルの担当Pが、自分の担当アイドルを売り込む姿が見られるというのが私の好きな点です。これはまさにプロデュースであり、自分の担当アイドルを売り込むことももちろん、ほかのアイドルの魅力を知ることができる良い機会だと思います。

 それはさておき。

 全世界の方に読んで欲しいほど、岡崎泰葉の投票時セリフは素晴らしいものだったのです。この記事を最初に公開したときはまず担当Pに…という思いでしたが、今度は泰葉P以外にも見て欲しいのです。

 まず軽く岡崎泰葉について説明すると、元子役・元モデルのアイドルです。16歳で、デレステでは「芸歴11年」と言われていました。今までは大人たちと仕事をして、自分のやりたいこともできず、周りに言われるまま笑ってきた。けれど、アイドルになって、本当の意味で笑顔になれる、自分らしく輝ける場所が見つかった。そういうアイドルです。


 ※ただしこれは私個人の感想であり、誰かに押し付けるものではありません。真面目な考察ではないので、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

 ここで全文を載せておきます。
…あんなに高い場所なのに、【P名】さんは必ず届くと信じてくれる。なら、私は…!どうか、最後まで見ていてください!

 『あんなに高い場所』というのは、シンデレラガールであり、同時にトップアイドルのことを指していると考えられます。そして、高い場所というワードに私は思い当たることがありました。それは星です。星は、今の私たちから見てとても高い場所にあるもの。そして星と言えば、岡崎泰葉の初めての上位SRイベントであるアイドルLIVEツアーinスペースワールドのカード名が「プラネットスター」。特訓前はプラネタリウムで星を見上げる泰葉が描かれています。
 このプラネットスター特訓前の親愛度MAXコメントに、「○○さんが見ている星と、私が見ている星…同じだったら嬉しいです。私、プロデューサーと一番の星を目指したいから…」とあります。この「一番の星」は前述の『あんなに高い場所』と同じく、トップアイドルのことでしょう。
 プラネットスターの時点では、泰葉にとってプロデューサーと自分の目標が同じなのかどうかということについて若干の不安(という言葉は言いすぎかもしれませんが、若干のズレがあるかもしれないというニュアンスでしょう)があったようです。けれど、いまの泰葉からはそれを感じません。

プロデューサーの目標は岡崎泰葉をトップアイドルにすることであり、岡崎泰葉の目標はプロデューサーと共にトップアイドルになること。そういった強い意志が感じられる言葉だと思います。

 さらに、「必ず届くと信じてくれる」。「信じる」というワードは、岡崎泰葉にとって重要なものです。初期Rのプロフィールコメントを引用しましょう。「華やかなだけの世界じゃないって分かってる…でも私たちならやれますよね。プロデューサーも私を信じてくれますか?」。岡崎泰葉がアイドルになるためには、彼女自身の力を信じてくれる人がとにかく必要だったのです。だから、岡崎泰葉のプロデュースはお互いの信頼を高めることに重点を置いているといっても過言ではありません。そしてそのようなプロデューサーの思いが、確かに伝わっているということを確信できるのがこのコメントでした。

 そして、「なら、私は…!
 最後まで言いきらないところが、泰葉らしいのです。泰葉は今までのカードでも、最後まで言いきらないセリフを多く持っています。このあとに続く言葉は、それぞれのプロデューサーが自分に一番欲しい言葉を補っても良いのだと思います。きっとそれが、正解です。泰葉は、最後まで言いきらずともプロデューサーは私をわかってくれている、私を信じ続けてくれる、そういう思いを持っているのではないでしょうか。

 さらにさらに。「どうか、最後まで見ていてください!
 最後まで、というのはおそらくトップアイドルになるまで、ということだと思います。今の泰葉にとって、最終目標はトップアイドルなのだから当然です。けれど、彼女が「トップアイドルになった」ということを実感したとき、彼女はここが最後ではない、と知ることになると思います。アイドルに終わりはありません。トップアイドルになってからも。ただそれは今彼女には言う必要のないことなのでしょう。泰葉は聡い人です。道を歩んでいく上で、学んでくれる。だからプロデューサーは、その姿を隣で見て、信じていればいい。

 その強さが、岡崎泰葉の強さです。
 アイドルになる前の彼女の経歴のせいか、テーマパークサバやひな祭りのせいなのか、彼女を語る上で「依存」などという言葉を出されることもよくあります。それを否定するつもりはまったくなく、相互依存関係にある泰葉とプロデューサーという世界も多々あると思います。けれど今回の投票セリフに限っていえば、これは依存関係ではないと言い切れるような気がしているのです。岡崎泰葉は、しっかりと自分の足で立っている。歩んできている。その隣には、私たちプロデューサーがいる

 そうして、彼女は自分が歩んできた道を振り返りながら、シンデレラガールというひとつの星に向かって走り出そうとしています。私たちはただ、それを信じて、応援するのみです。

 今回の結果がどうなるかはわかりません。当然どのアイドルにもたくさんの歴史や背負う思いがあります。甘いものではありません。それは、岡崎泰葉自身が一番知っていることのはず。けれど私は彼女を信じています。泰葉が私を信じてくれるように。それが岡崎泰葉のプロデュースだと、強く考えさせられるセリフでした。本当に素晴らしく、嬉しかったです。

 岡崎泰葉と、めざせ、トップアイドル!

デレステ・モバマス―二人の岡崎泰葉にとっての「アイドル」とは?

※このポストは、デレステ・モバマスの岡崎泰葉のセリフ・コミュについて多大なネタバレを含みます。

 

雑感想を書きながらデレステの泰葉コミュを見ていて、ひとつの気づきを得ました。今回はそれについて書いてみようと思います。

何かといえば、「デレステとモバマスの岡崎泰葉にとって、根本的に『アイドル』に何を求めているかが全く違っている」ということです。

ほかのすべてのアイドルに言えるか、というと自信がないのですが、多くのアイドルは「目標」を持ってアイドルになっています。それは「トップアイドルになること」であったり、あるいは白菊ほたるのように「不幸な自分でもアイドルになれると証明したい」、首藤葵のように「実家の料亭を有名にしたい」というような個人的な目標もあります。

モバマスの岡崎泰葉については、以前の投稿「岡崎泰葉はどうしてアイドルになったのか?」で取り上げました。

端的に言うと、モバマスの岡崎泰葉はモデル・子役をしながらアイドルの姿を見ており、ずっとアイドルに憧れていました。「アイドルになること」がそもそも彼女の目標であった、ということです。ですから、岡崎泰葉にとって目標を果たすためには「アイドル」にならなければいけませんでした。いわば「アイドル」になった時点で、彼女はひとつの目標を達成しています。そのため、彼女は「アイドル」という言葉を口にする機会が非常に多いです。

一部を取り上げると、

早くアイドルって認められたいの(無印)」

私はまだ本当のアイドルになれてないということなんでしょうか?(アイドルサバイバル・ステージボス)」

私はアイドルだもの…!(爛漫ひな娘)」

私は…アイドルです…!(小さな一歩)」

などがあり、特に爛漫ひな娘から小さな一歩の台詞の流れは、「アイドルである自分」を自分に言い聞かせ暗示するような台詞から、胸を張ってステージ上で言えるようになるまでの変化が描かれていると言ってもいいでしょう。モデル・子役をやりながら「幸せ」「楽しむこと」がわからなかった彼女が、アイドルになることでそれらを少しずつ知っていく。それがモバマスにおける岡崎泰葉の物語の主軸です。

それでは、デレステの岡崎泰葉にとっての「アイドル」とは何なのか?

現時点で、デレステの岡崎泰葉から「アイドルに憧れていた」というような台詞は聞くことができません。

雑感想で書きましたが、プレイヤー(プロデューサー)は「楽しめることを見つけてみない?」というスカウトの方法を取っています。岡崎泰葉がアイドルに興味を持ったのは、「いまモデルをやっていてはわからない『楽しむこと』がアイドルをやればわかるかもしれない」という感情からです。

つまり、極端なことを言えば「アイドルでなくても良かった」のです。プレイヤーはアイドル部門からの見学という場面で岡崎泰葉に出会っていますが、もしこれが女優部門からの見学で、同じ言葉をかけていたなら…。彼女は女優として、『楽しむこと』を探すことになったかもしれません。

デレステの岡崎泰葉の目標は「『楽しむこと』を見つける」ことです。モバマスの岡崎泰葉の目標は「アイドルになること」でした。

すなわち、モバマスの岡崎泰葉にとっての「アイドル」は最初から「目標」であるのに対して、デレステの岡崎泰葉にとっての「アイドル」は最初、「手段」でしかありませんでした。

そして、アイドルとなり、ステージに立った彼女は親愛度演出でこう語ります。

私、思い出したことがあるんです。どうして、ここまで芸能界で生きてきたのか。最初は、親や誰かに笑ってほしくて……それだけでした。それだけのために、頑張ってきたんです。ステージや歓声が思い出させてくれるんです。今もう一度、あの頃の私に会いに行くような……そんな心地です。

さらに、トップコメントでは

楽しいって思えること、私はもう出会っていたんですね

と話してくれました。

岡崎泰葉にとっての『楽しむこと』は、彼女自身の中にあった。それを、岡崎泰葉はアイドルとして仕事をしながら思い出すことになります。そして、

モデルの頃よりお仕事が楽しくて…この気持ち、伝わっていますか?

と、出会いのときプロデューサーの語った「楽しめることを見つけてみない?」に対する答えが見つかったことを教えてくれました。

モバマスの岡崎泰葉も同じように言っています。

最初はちょっと不安だった…でも最近アイドルのお仕事が充実してきたの! モデルの頃よりお仕事が楽しくなってきたのかなって。この気持ち、プロデューサーにも伝わってますか?(無印+ プロフィールコメント)」

アイドルが「目標」だったモバマスの岡崎泰葉。

アイドルが「手段」だったデレステの岡崎泰葉。

ふたりは全く「アイドル」に対しての考え方が違っていました。けれど、彼女たちは同じようにステージに立ち、歓声を浴び、「アイドル」として生きることで、次のステップへの階段を少しずつ、着実に踏みしめていきます。

そして、アイドルが「目標」だった岡崎泰葉は、今度アイドルを「手段」とするのです。多くのファンに夢を届けるため、アイドルを続けるように。

反対に、アイドルが「手段」だった岡崎泰葉は、今度アイドルが「目標」となります。楽しむことを見つけるために始めたアイドルから、トップアイドルへ。

夢って不思議です。ひとつ夢を叶えると、次々に違う夢が生まれてきて…また新しい夢に挑戦しましょう!プロデューサーさん!(ワンモアステップ 親愛度MAX)」

ファンやプロデューサーさんの笑顔をずっと見ていられるように、トップアイドルを目指して頑張ります……!(デレステ 特訓エピソード)」

岡崎泰葉は「シンデレラストーリー」を辿れるか?ー彼女の求める「普通の女の子」

アイドルマスターシンデレラガールズは、その名に冠するとおり「シンデレラストーリー」を描いています。

シンデレラストーリーとは童話「シンデレラ」の主人公になぞらえた物語です。有名でない、一般人である女性が苦労の末に成長し、大きな幸福を手にすることで一流の場に出るなどといった意味が一般的ではないでしょうか。

実際にシンデレラガールズでは、そのアイドルの初めての登場で多くの場合デビュー前の私服や、以前の仕事の制服などを身に纏っています。そして実に「一般人らしい」セリフを口にする。「アイドル」というものに対する距離があらわれています。

それでは以下に何例か、「アイドルというものと自分を遠い場所においていた」プロフィールコメントの一部を挙げてみます。

藤本里奈
えー、アタシがアイドル?超ウケる!何言ってんのー?キャハハ!

神谷奈緒
は、はァ!?な、なんであたしがアイドルなんて…っ!てゆーか無理に決まってんだろ!

荒木比奈
アイドルっスかぁ〜…? いやアタシはちょっとそういう華やかな世界の住人じゃないんで、いいんでスよー…。

この3人は当然一部で、ほかにもアイドルなど自分には出来ないといった意味の発言をしているアイドルは多くいます。もちろん反対に、アイドルになることが当たり前といった発言をしているアイドルもいるのですが…。

どちらにせよ、日常を繰り返していた少女たちが非日常に足を踏み入れ、輝くステージに向かうこと・普通の女の子からトップアイドルになること、がシンデレラガールズ全体のメインストーリーと考えられるでしょう。

そしてそこには魔法使いが必要です。シンデレラは誰かから援助を受けることで宮殿のダンスフロアに足を踏み入れることが出来るようになるのです。

シンデレラガールズにおいてこの「魔法使い」はプロデューサーであると言っていいでしょう(佐久間まゆなど、プロデューサーが魔法使いと同時に王子役を務めなければいけない場合も多少見られます)。

つまり、シンデレラガールズのプロデューサーの仕事は「普通の女の子をトップアイドルにすること」です。ですから、少女たちがトップアイドルになるには「普通の女の子である自分」から脱却しなければいけません

ですが、この「普通の女の子」というキーワードを何度か繰り返しているのが岡崎泰葉というアイドルです。

岡崎泰葉の衣装Rの親愛度MAXセリフを見てみましょう。

○○プロデューサー、アイドルにならなかったら私は普通の女の子だったのかな…? 普通の幸せって、なんだろうって…

「普通の女の子でいたかった」とも解釈できる台詞です。彼女は幼少の頃よりモデルとして活動していました。つまり、「普通の女の子」というものをほとんど経験せずに彼女は人生を歩んできています。岡崎泰葉は衣装Rが初登場カードですが、もちろんその時点で芸能界という場所に立っているということ。前述の”宮殿のダンスフロア”にすでに足を踏み入れた状態からアイドルに向かう、すなわちほかのアイドルとは逆方向を辿ることとなります。

さらにアイドルプロデュース「チョコレートフォーユー!」のエンドレスプロデュースーーお仕事が終了しプロデューサーと過ごす中で、「普通の女の子」というキーワードを幾度か口にしています。

「今はアイドルじゃなくて…普通の女の子です。な、なんて…」

普通の女の子って…どんなバレンタインを過ごすのでしょうか…」

「今だけは普通の女の子みたいなことをしたくて…。バレンタインはこんな風にPさんに渡せれば…」

「私、昔から芸能界にいたので…普通の女の子のバレンタインがどういうのかよく分からないんです」

岡崎泰葉はアイドルというものが「普通の女の子」とかけ離れていることを知りながら、「普通の女の子」に憧れています。チョコレートフォーユー!エンドレスプロデュースではおしゃれをしてみたことや、カフェで一休みしたいこと、クレープの食べ歩きをしたいこと、友チョコを渡してみたいことなどをプロデューサーに語りました。岡崎泰葉にとってそれは今までできなかった「普通の女の子がすること」なのでしょう。

けれど、「普通の女の子になりたい」が「アイドルをやめたい」に直結するわけではありません。アイドルに対して後ろ向きと取れるような発言をしたのは衣装Rの親愛度MAXセリフだけで、仕事を重ねるうちにアイドルを楽しめるようになった彼女は「アイドルになれて良かった」と言います。すなわち岡崎泰葉は「自分の思い描くアイドルを求めながら、同時に普通の女の子である自分も探していく」ことを目標としているのではないか?と考えました。

「普通の女の子」が魔法を掛けられて「シンデレラというトップアイドル」に向かっていくのではなく、「普通ではなかった女の子」が魔法を掛けられて「アイドル」である「普通の女の子」に向かっていくのです。

アイドルと普通の女の子、という二つの要素を共存させる、という意味で岡崎泰葉はシンデレラガールズの中で異端な存在かもしれません。

さらに「普通の女の子から脱却させ輝かせる」ことが仕事であるはずのプロデューサーも、岡崎泰葉の場合はそれを強要しません。むしろ岡崎泰葉には「普通の女の子」でいて欲しい、と考える担当プロデューサーも多いのではないでしょうか。

そして岡崎泰葉は「アイドルになったことで普通の女の子にもなれた」とも考えているのではないかと思っています。例えばモデルを続けていたら。例えばモデルを辞め「一般人」に形だけ戻ったら。ゲーム内ではありませんが、公式アンソロジー「ニュージェネレーションズ」の中で他のアイドルにモデル時代を知られている描写がありました。モデルを辞めたところで、「普通の女の子」に戻ることが出来るかといえば難しいでしょう。

対してアイドルになったことで、岡崎泰葉は「普通の女の子らしいこと」が出来るようになりました。事務所に友人が出来たことを嬉しそうに語ったり。家族に仕事の話を笑顔で出来るようになった、と語ったこともあります。これこそが岡崎泰葉の求めていたことであると言えるのではないでしょうか。

確かに、「普通の女の子が魔法をかけられることではじめて一流の場に立ち幸福を手にする」という書き方をすれば、そのシンデレラストーリーを辿ることは岡崎泰葉には出来ません。

しかし、「女の子が求めていた”得られなかった幸福”を、魔法によって新しい世界に立つことで手にする」と書くならば、それも間違いなくシンデレラストーリーであり、まさに岡崎泰葉の辿った道のりを示すことが出来るでしょう。

岡崎泰葉はどうしてアイドルになったのか?

アイドルマスターシンデレラガールズというコンテンツにおいて一人のアイドルを語るとき、まず考えなければいけないのは彼女たちが「アイドルというものを目指すきっかけ」を何処で手に入れ、どうしてアイドルの世界に身を置いたか、ということだろうというのが私の考えです。

アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」第1話でも、アイドルという不透明なものに対する漠然とした不信感をあらわにする渋谷凛に対して、アイドルというものにきらきらとした憧れを強く抱く島村卯月が、自分にとってのアイドルについてを語りました。それによって渋谷凛はアイドルになるということに対して背中を押される、というのが第1話の流れです。

それでは、岡崎泰葉はどうしてアイドルになったのか

これを考えるにあたって、そもそも彼女がどういう立場であったのかということは必ず考えなければいけません。

シンデレラガールズのユーザーならおそらくほぼすべての人が知っていることでしょうが、岡崎泰葉はシンデレラガールズのアイドルとして初めて芸能界に立ったわけではありません。幼少の頃(はっきりした時期や当時の年齢などは明かされていません)からモデル業をしていた、芸歴の長いアイドルです。

ただ泰葉の過去についてはこの記事ではあまり取り上げないでおこうと思っています。語るべきことが多すぎて、横道に逸れてしまうためここでは割愛。

では、小さい頃から芸能界に属していながらどうしてわざわざアイドルを目指したのでしょうか。

まず、岡崎泰葉は自らの過去である「モデル業をしていた自分」をプラスに受け止められていない、という前提が必要になるでしょう。アイドルプロデュースに出演した際のエンドレスプロデュースで、以下の台詞がイベント発生としてあります。

アイドルは…私の憧れでした。いつも明るくて楽しそうで…そんな姿を、昔から見ていました…

もしモデルを心から楽しみ、自分が何より輝ける場所はモデル業である、と思っていたならばアイドルに対する憧れを持つことはないと考えて良いでしょう。つまり、岡崎泰葉はモデル時代にアイドルを見て、その姿を追い、現状の自分から脱却するために今のプロデューサーと出会った、と考えるのが自然ではないでしょうか。

先ほどのイベントでグッドを出した際の台詞は「そんな憧れのアイドルになれて…私は今とっても幸せです…」。

アイドルたちが各々違う目的のためにアイドルになったとすると、「○○をしたいから(目的)、アイドルになった(手段)」という構文に当てはめることができます。岡崎泰葉を当てはめるとすると、「アイドルになりたいから、アイドルになった」というごく単純な構造になるでしょう。ある意味当然の話で、それがきっかけ?と思われるかもしれません。

初登場カードである衣装Rの時点での岡崎泰葉は、まだ自分がアイドルであることに自信がないことを明らかにする反面、芸能界にいた時間が長いのだから大丈夫、とプロデューサーを半ば突っぱねるような態度も見せます。しかしそれは不安の裏返しで、何度も何度も「アイドル」という単語を連ねてプロデューサーに自分のアイドルとしての姿を確認していることがサマーライブのエリアボス台詞からわかります。

アイドルマスターシンデレラガールズの世界観では、基本的にどのキャラクターもトップアイドルを目指すのが当たり前というような前提が出来上がっています。初期カードの時点で自分がアイドルであることは当然で、次の段階として「トップアイドル」を見つめているキャラクターが多い一方で、岡崎泰葉は「アイドルになる」という、一歩手前から物語を始めているように私には思えてなりません。

小さい頃から芸能界に身を置いてきた彼女だからこそ「アイドル」というものが彼女の中で大きい存在になっていた。「アイドルを目指すきっかけ」というものは岡崎泰葉にとって明確ではなく、あえてわかりづらい書き方をするならば「岡崎泰葉が岡崎泰葉だったこと」がそのきっかけと言えるでしょう。

岡崎泰葉は幼少より「お仕事に対する自分の気持ち」をうまく整理できずにいたのではないでしょうか。大人の言うことを聞くだけのキッズモデルの目から、輝くアイドルたちは「お仕事を楽しめている」、その点において何より泰葉の心をとらえた、と考えます。

「お仕事を楽しんでみたい」「私も輝きたい」その思いが彼女をアイドル事務所に向かわせたのだと思います。彼女にとって「アイドル」という存在は、自分の現状を打破できる理想だったのです。

小さい頃、キッズモデルをしながら芸能界という場所でアイドルを目指すきっかけを手に入れた彼女は、「自分の【理想像】である“アイドル”になるため」にアイドルになった、というのが私の結論です。

最初はちょっと不安だった…でも最近アイドルのお仕事が充実してきたの! モデルの頃よりお仕事が楽しくなってきたのかなって。この気持ち、プロデューサーにも伝わってますか?」(岡崎泰葉+ プロフィールコメント)